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カスタマーレビュー数:35
販売価格:1890円
中古価格:1119円
定価:1890円
発売:ダイヤモンド社
発売日:
出版日:2009-06-19
種別:#
複雑化する社会の不確実性を解き明かす名著
2009-06-29
57人中 47 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
サブプライム問題に端を発した世界金融危機において、誰もが疑問を持ちました。アメリカの金融工学は最先端で、徹底したリスク管理ができているはずなのに、なぜこれだけの破綻が起きたのか、と。 <br /> <br />サブプライム問題が顕在化する前の2006年に出版されたのに、その理由である現代の金融工学や経済学の誤りを鮮やかに指摘するのが、デリバティブ・トレーダーにして研究者のナシーム・ニコラス・タレブによる「ブラック・スワン」です。 <br /> <br />本書は、ただの経済書ではありません。むしろ、複雑化する社会における、人間の認知と思考の限界を示す、重要な哲学書です。圧倒的な知的刺激に、まだ興奮が収まりません。 <br /> <br /> <br />表題であるブラック・スワンとは、オセアニアで発見された黒い白鳥のことで、それまで黒い白鳥は存在しないとされていた学説が、その発見によって覆されました。 <br /> <br />ブラック・スワンが象徴するのは、理論というものを「検証」することは非常に難しく、「反証」することは非常にたやすい、ということです。ここが非常に重要なのですが、我々は常にブラック・スワンを発見してからしか、ブラック・スワンを含む理論を作れないのです。すると、おわかりでしょうか。サブプライム問題に代表されるような、ファイナンス理論が想定していない事態は、そもそも理論で管理することが不可能なのです! <br /> <br />リスクをコントロールする戦略が不可能ならば、不確実性を積極的に活用するしかない、とタレブは説きます。専門であるトレーディングの例としては、ポートフォリオの大部分はアメリカ短期国債のような超安全な資産に投資しつつ、残りの10〜15%をあらん限りのレバレッジを効かせたハイリスクな資産に投資するという「バーベル」戦略を説明します。こうすることで、悪いブラック・スワンによる破綻のリスクを避けながら、良いブラック・スワンーー大穴ーーを引いたときには大きく資産を増やすことができる、という考え方です。 <br /> <br />タレブの議論は、現代社会における不確実性の増大を説明するための複雑ネットワーク理論、ギリシャ哲学における経験主義、行動経済学からフラクタル数学、ポパーにまで飛ぶので、聞きかじりでもそれらの知識がないと読むのは辛いかもしれません。 <br /> <br />タレブが繰り返し激しく攻撃するのは、自閉する哲学や、学会での権威付けの競争にのみ用いられる複雑な数理モデルを駆使する経済学です。それらの知のタコツボに風穴を開けるタレブの議論は、明瞭にして痛快。 <br /> <br />本書を読み通して理解することができれば、ネットワーク化して複雑化する社会における見通し図を得たようなものです。
「専門家」の権威に盲従しない勇気
2010-01-16
4人中 4 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
経済学のように、高度な数学に武装された学問について、 <br />専門家から自信たっぷりに説明されれば、我々一般人は <br />たいした疑いもなく信じてしまいがちだ。 <br /> <br />だが、この本を読み、実際には、彼らの学問は例外に満ちた <br />複雑な現実ではなく、学問にしやすいよう、現実を都合よく <br />解釈しただけに過ぎないことを知らされた。 <br />学問に限らず、ビジネスでも「専門家」の名の下に自分が <br />知っていること以上に世界について知っていると主張する者が <br />いかに多いことか。 <br /> <br />問題は専門家の側だけでなく、そうした彼らの主張を安易に <br />信じ、彼らを野放しにしてしまう我々一般人側にもある。 <br />不確実性を認めることは精神的ストレスのかかる行為だが、 <br />専門家の権威に盲従しない勇気を持つ必要性を感じた。 <br />「それは本当に現実ですか?」まずはこの問いから始めたい。 <br />
わかりにくいが、リスクをコントロールしようとする人は、読まねばならぬ。
2009-08-11
29人中 24 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
リスクを予測することは、本源的に不可能だという。 <br />予測することのできない事象を、それを発見するまで考えることすらなかった <br />黒い白鳥「ブラックスワン」と呼ぶ。 <br /> <br />カジノで発生した危機の上位4つは、 <br /> 1. ショーの主役がトラに襲われた。 <br /> 2. 逆恨みした建設業者がダイナマイトで建物を爆破しようとした。 <br /> 3. 税務署への書類提出がなされず、免許停止の寸前だった。 <br /> 4. オーナーの家族が誘拐された。 <br />というように、イカサマ防止のためのハイテク監視システムは <br />何も役に立たなかった。 <br /> <br />金融や経済も同じで、筆者は、モダンポートフォリオ理論すら「インチキ」 <br />と切って捨てる。そもそも標準偏差だの相関だのは「科学的」な気がするだけで <br />ブラックスワンには立ち向かえないのだ。 <br /> <br />サブプライムローンについて、訳者がうまく説明している。 <br />「リスク管理はリスクを高める」と。 <br />何かの仕組みができれば、その裏をかかれる。 <br />「仕組み」の上では手頃なリスクに見えても、仕組みが把握できないところで <br />大きなリスクを抱えるのだ。 <br /> <br />では、ブラックスワンと上手につきあうには、どうすれば良いか。 <br />それは、この本の中に隠されている。 <br /> <br />ただし、著者はかなりの皮肉屋でまた頭も良いので、 <br />話の途中でシニカルなジョークがいくつも混じったり、 <br />あっちこっちへ話が飛ぶので、はっきり言ってよくわからない本になってしまっていると思う。 <br />がまんして読むしかないでしょう。
うろこがいっぱい張り付いた目を浄化してくれる
2009-06-29
45人中 34 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
ちょっと金融論や投資理論を勉強すると、リスクとか期待値、確率、変動率などわかった気になる。しかし、そうした業界で議論されているリスクとはカジノゲームと同じで計測できるリスクに過ぎず、私たちが現実に直面する現実は、計測自体が不可能な不確実性(ナイトの不確実性)の方が圧倒的に多い。そしてちょっと判った気になった程度が、実は一番危険だと本書は教えてくれる。「黒い白鳥」とは極めて稀な出来事の象徴である。 <br />たった一羽の黒い白鳥が舞い降りただけで、それまですべてのことが崩壊してしまう。しかも、世間は判りやすい講釈のついた黒い白鳥には過剰反応する一方で、講釈になじまない黒い白鳥の存在可能性は無視されている。それが重大な結果をもたらすにも関わらずだ。なるほど、その通りだ。 <br />毎日たんまり餌をもらって暮らしていた経験主義的な七面鳥は「世界は気前よく餌をくれる人間でいっぱいだ」という世界観を抱くだろう。ただし、その経験主義的な七面鳥の世界観は感謝祭の前日に崩壊する。限定された経験から安易に結論を導き出すことへの警鐘である。たしかに、今回の金融危機で沢山の七面鳥が悲鳴を上げたことは間違いない。
非常に興味深いテーマなのに・・・
2009-07-29
24人中 18 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
非常に興味深いテーマを扱っているのに、文章が難解すぎるのが惜しい。 <br /> 非常に散漫な文章で、趣旨がストレートに頭に入ってこない。 <br /> 結論が見えない。 <br /> 結論があっても、そこに至る道筋が見えない。 <br /> 前著「まぐれ」も同じだった。 <br /> 表題と、副題と、章建ては非常にアピールする。 <br /> なのに、文章を読むと途端にあいまいになる不思議。 <br /> 忙しいビジネスマンは読みとおすのがつらい。 <br /> これは、翻訳の難と言うより、著者の癖なのだろう。 <br /> リスクと不確実性を題材にした著者のエッセーを楽しむ本と言ったほうがいい。 <br /> <br /> どうしてこれが世界のベストセラーになるのか。 <br /> この難解さがむしろ通好みなのかもしれない。