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カスタマーレビュー数:40
女性学 >
2位
生物・バイオテクノロジー >
22位
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生物・バイオテクノロジー >
20位
福岡さん、教科書を作って下さい
2009-07-25
8人中 7 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
相変わらず面白い。 <br />生物学をこのようにスタートさせたら、興味の持ちようも大分違うだろう。比喩が大仰で多少くど過ぎるきらいもあるが、最近の福岡氏は科学者というより小説家といってもいいので目をつぶろう。 <br /> <br />人間の飽くなき好奇心、名も無き生物学者達の連綿と続く地道な探求が、切れのいい文体で綴られる。そこには同業者に向ける温かい愛情も混じる。 <br /> <br />なぜ性が決定されるか。性決定遺伝子を見つけ出すまでの行き詰る研究合戦。白衣の紳士達も鬼気迫る戦士となる。 <br /> <br />そして本題。従来の生物教科書に改定を求めたい箇所である。受精卵は男と女にどのように分かれていくか。女が基本仕様で、男はそこにいささかの変更を施したものであるという。福岡氏はその変更を不細工と呼ぶが、男と女、どちらが高等かという論議などばかばかしいほど生命の神秘、精緻さに感嘆する。 <br /> <br />最後のエピソードは不要であったろう。しかし、象牙の塔のイメージから、生臭い世俗にまみれなければ立ち行かない科学界の一面をうかがい知ることができよう。凋落した科学者へ向ける福岡氏のまなざしも決して冷ややかなものではない。 <br />
既知のテーマだが
2009-01-05
21人中 14 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
女が基本形で男は女から作られる、とか、男は女よりも弱い、とか、正直かなり前から言われていることなので、そういう意味での新鮮さはない。 <br />女からも「できそこないの男と言われてもねえ、だからっていまさら何なのよ」と言われるのがおちだろう。 <br />でも、そもそもどういうふうにして女から男が作られるのか、というDNAレベルでの科学的なロジックを素人でも追うことが出来るようにわかりやすく記述されているので、そういう意味での知的好奇心は満たされる。 <br />最後のエピローグで「科学はHOWは語れてもWHYは語れない」という禁を破って「射精感」と「加速覚」との関連性の指摘をするところなど、これはまあ、ちょっと詩的に冒険しすぎか、という気がしないでもないが、ご愛嬌ということで。。。
小説としては素晴らしいが。
2008-10-20
170人中 102 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
前半は本人の研究者としてのエピソードも交えながら、SRYの特定に至るノンフィクション科学小説といったノリだ。流れるように進むエピソードは魅力的で、小説かに転身した方がいいと思わせるほど素晴らしい。 <br /> <br />後半の3割程度は性の生物学的な議論に移る。素晴らしい前半とうってかわってここのデキは良くない。科学的な論述のはずかポエム的な表現とまじって不正確な印象を与える。出典不明なため確認できないが間違った記述もある。たとえばmtDNAの共通祖先とY染色体の共通祖先は倍近く時代が異なるはずで、同時代ではありえない。 <br /> <br />オスとメスの存在は配偶子の非対称的な軍拡競争の結果と考えられており、同時に誕生したはずで、メスがオスを作ったという表現は不正確だろう。「オスは少数でも役割を果たせる」といいつつ、なぜ実際には少数ではないかを説明していないが、これはフィッシャーの原理と言って進化生物学では極めて重要な(しかもかなりシンプルな)理論だ。説明を飛ばすべきではなかったと思う。男性が短命な至近因をテストステロン暴露で説明するのはごく普通だが、ではそもそもなぜ男性だけがそういう目に会うのかという進化因には触れていない。 <br /> <br />フィッシャーの原理やテストステロン暴露の進化的な意義を説明するとなると(福岡氏が好んでいない)自然選択にどうしても触れざるを得ないからではないだろうか。しかし進化因に触れていないために「たまたまY染色体を持ったから男性が短命なのだ」というような説明になっていない説明でお茶を濁すはめになっている。実際の進化理論はそんなに単純ではない。性の進化の研究に生涯を捧げてきた先人たちの努力を無視しているのはいただけない。 <br /> <br />福岡氏は通俗的な説明(ドーキンスの比喩表現や話題の脱線、竹内久美子など)を誤解を招くといって度々批判してきた。後半で彼が行っている性の説明はそれ以上に通俗的かつ不正確で、いくら新書とはいえ残念なレベルだ。
才子 才に倒れる
2008-10-25
106人中 60 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
非常に興味深い題材を扱いながら、読後感は決してよくない。科学に弱い読者へのサービスのつもりなのかもしれないが、たとえ話が回りくどく、反って話の筋を見えにくくしている部分がある。また、最終章は本題と直接関係のないゴシップ記事が延々と続く。絵に描いたような蛇足といえ、この本全体の信頼性を疑わせることになった。もっと自然で客観的な文章を心がければよい本になったと思えるだけに残念である。
これは本物、二番煎じではない出来栄え...
2009-03-20
18人中 10 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
前著『生物と無生物のあいだ』には、脳天をぶち抜かれるような衝撃を <br />受けました。重要な遺伝子をノックアウトしたマウスに何も起こらなかった <br />生命の動的平衡の不思議。そしてエピローグで語られる、人知れず孵化 <br />していたチョウと、傷つけたトカゲの卵の、切ないようなエピソード。 <br />1年以上前に読んだ本なのに、まざまざと思い出すことができます。 <br />このような本にはめったにめぐり合うことが出来ません。 <br /> <br />今回の『男たち』の話も実に興味深いです。 <br />特に、アリマキを通して語られる「メスは太くて強い縦糸であり、 <br />オスは、そのメスの系譜を時々橋渡しする、細い横糸の役割を <br />果たしているに過ぎない」事実.. <br />アリマキが暖かい間は単為生殖で、冬が近づくと初めてオスを <br />つくるのは、何とも不思議で、生命のデフォルトがメスである <br />ことがよくわかりました。 <br /> <br />福岡伸一..研究者として高い能力と、それをわかりやすく詩的に <br />語る能力を併せ持つ、稀有な生物学者です。生物学者には <br />文章力の高い人が総じて多いですが、福岡の文章力は <br />抜きん出ています。無駄がなく、それでいて読んでいると <br />想像力がふくらむ文章。お手本としたいような文章です。 <br /> <br />前著の『生物と..』を読んで、二番煎じではと若干危惧して <br />いましたが、これは本物です。本物とわかったところで、 <br />『プリオン説..』を注文しよう〜っと。