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実名に勝る情報なし、必見の本
2009-01-03
28人中 27 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
30年近くCIAや国防省といった諜報分野の取材をしてきた著者が、 「パールハーバーを繰り返すまい」という使命で設立されたCIAの誕生から現在までを記した本。 内容は、朝鮮戦争やキューバ危機、9.11の同時多発テロなど、CIAが情報を見誤り、 情報機関として失敗した事例をふんだんに盛り込んでいる。 特に印象に残ったのは、CIAによる自民党への秘密献金(上巻第12章)、イラクで大量破壊兵器があるという偽の情報伝達(下巻第50章)。 恥ずかしながら、自民党への秘密献金があったこと、そして、どの政治家がCIAの協力者であったかを初めて知った。 そして、アメリカがイラク戦争に突き進んだ理由となる「大量破壊兵器の存在」が、いかに根拠に欠くものであるのかということにも驚いた。 この本のすごさは、本全体で「誰に何を聞いたか」「誰がどこで何を言ったか」が、 実名で書かれていること。 日本の新聞によくあるような、関係者によると・・・ということはしていない。 歴代長官らからのインタビュー、秘密文書などを丹念に調べ上げた取材結果を実名で記しているのだ。だからこそ、説得力と重みが違う。 文末についた注釈(取材ソース)が上下巻で計約200ページに昇っているのも驚きだ。 とはいえ、上下巻とも読みこなすのはなかなか疲れる。 買おうかどうか迷っている人は、下巻に書かれた編集部による解説(379〜393ページ)をまず読んでみては。
記述内容は良いのだが・・・・・・
2009-01-15
19人中 16 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
内容的には目新しくショッキングな事柄や、通説を補助・補強するものまで含まれ、著者の取材力やその姿勢には頭が下がる。しかし残念ながら翻訳が・・・・・・。翻訳に割く時間が充分ではなかった訳ではないだろうに、中学生が英和辞書を片手に訳したような文章で、非常に残念。改訂版や文庫版などが出版される機会があるとすれば、是非訳文の見直しをお願いしたい。内容が申し分ないだけになんとも残念至極。。。。。。
9.11が防げなかったわけ
2009-02-07
10人中 8 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
スパイ映画の007のせいもあるだろうが、陰謀とか謀略が専門の組織体によって、やすやすと行われていると誤解しているのではないか。本書はそういう幻想を取り除く事実だけで語られた書だ。 これを読めば、何故9.11テロをCIAが防ぎえなかったのかよくわかることだろう。しかも、第二次大戦後のCIA初期からさまざまな問題を抱えていたのにも関わらず、数々の作戦の失敗(数千人単位の工作員の死亡)にも改善は行われずひたすら隠蔽と秘密主義のみがこの組織では横行したのだ。 皮肉にも、彼等の数少ない作戦の成功例が「戦後日本の政権への介入」であったことは、日本人としてよく理解しておくべきかと思われる(第12章で説明)。 なお、この上巻の終わりあたりはキューバ危機とケネデイ暗殺にかかる記述が続いているが、何も知らない人が抱いている「ケネデイへの幻想」もまた幻想でしかないことが、多くのページを割いて語られている。そのことは、オバマ政権への幻想もまた危険であることを、連想させる。
噂、伝聞一切なし
2009-02-11
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ということで、この本の凄いところは、すべての記述にその出所、ソースを明示してあるところ。朝日新聞グローブの本人のインタビューにもあったように「200ページ以上のソースノートは私の武器」。というように、読者がその真贋や歴史的な文脈を判断できるようゆだねられている。 そのうえで、この本は、CIAを通じてみた戦後の世界の紛争の歴史ともいうべき大河ドラマ。ベトナムやインドネシアなどでいかにアメリカの介入があり、そのなかCIAがどのような役割があり、大統領府はどのようにかかわっていったのかが、語られる。いわば権力の中枢であるホワイトハウスのなかでの政策決定のプロセス(ケネディ政権のキューバ危機の部分は、私たちの常識を覆して面白い)と現地での局員の作戦がパラレルに俯瞰できるようになっている。 人を騙すということで成り立つスパイという仕事、そのなかで、精神がおかしくなってしまう幹部たちの描写もすさまじく、CIAの幹部は、極度のアルコール依存か、偏執病、あるいは、巨大なる自我を飼い馴らすことのできない人々の群れという地獄絵がひろがる。 そうしたなかで、自己を保っている人の判断などもみもの。 ということで、組織論としても読めます。
原書を読もう
2009-05-09
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カネと人をふんだんに注ぎ込んで、ロクな成果が得られないのは、CIAだけでなくアメリカ(人)の典型的なパターン(イラク戦争、ベトナム戦争、アフガン戦争)だが、その実態をかいま見るのは一興というもの。ただ、この本に挙げられたCIAの失敗の数々は、田中宇の言うように実はワザと失敗することを目的として、行われたのではないかと言う気もする。 一つ批判を書いておくと、翻訳があまりに稚拙。受験英語レベルの逐語訳にすら失敗していて、ところどころ何を言いたいのか意味不明なところがある。一ページに一カ所くらいならまだしも、ひどいところは10カ所くらいあり、まともな日本語になっておらず、思考が中断させられる。訳者自身も、何が書いてあるのか分かっていなくて訳文を書いているのが見え見え。はっきり言ってこの程度の出来で、お代を頂くのはご冗談でしょう、と言ったところ。 原書はベストセラーになっているようなので、原書を読める人は原書を読むべきだ。原書が読めない人は、本屋で立ち読みしてから、買うかどうか決めよう。