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カスタマーレビュー数:175
販売価格:1890円
中古価格:1099円
定価:1890円
発売:新潮社
発売日:
出版日:2009-05-29
種別:#
ミステリアスな疑問符のプールの中に取り残される読者
2009-06-09
118人中 87 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
本作が発売されて2週間近くになり、 <br />多くの方の書評やレビューを拝読させていただきましたが、 <br />私が、本作を最も的確に批評していると思った書評に <br />次のようなものがあります。 <br /> <br />『物語としてはとても面白くできているし、 <br />最後までぐいぐいと読者を牽引していくのだが、 <br />空気さなぎとは何か、リトル・ピープルとは何かということになると、 <br />我々は最後までミステリアスな疑問符のプールの中に <br />取り残されたままになる。あるいはそれこそが著者の意図したこと <br />なのかもしれないが、そのような姿勢を(作者の怠慢)と <br />受け取る読者は決して少なくはないはずだ。』 <br /> <br />すでに読まれた方はお分かりだと思いますが、 <br />この書評は、登場人物のひとりである17歳の少女ふかえりが書いた <br />小説(正確には原案)『空気さなぎ』に対する文中の書評で、 <br />村上春樹は、本作が世に出る前に、読者からの批判を <br />あらかじめ推測し、それを受ける覚悟で書いていたのではないかと <br />思われます。 <br /> <br />この書評の続きを読んでみると、 <br /> <br />『この処女作についてはとりあえずよしとしても、 <br />著者がこの先も長く小説家としての活動を続けていくつもりであれば、 <br />そのような思わせぶりな姿勢についての真摯な検討を、 <br />近い将来迫られることになるかもしれない』 <br /> <br />と書いていますが、この文章から推測すれば、やはり村上春樹は、 <br />ブック3、ブック4を用意しているはずです。 <br />ブック3が<10月−12月>で、ブック4が<1月ー3月>になると、 <br />ブック4は1Q84ではなく、1Q85になるのではないかと疑問視されて <br />いる方もいますが、ブック4が、ブック1の前に来る話であれば、 <br />1Q85になる事はありません。 <br />私は、1Q84がメビウスの輪のように、終局と始まりが繋がっている <br />終わりなきストーリーになる事を秘かに期待しているのです。 <br />(BooK1 50点 BooK2 70点) <br /> <br />
読み手が作る小説
2009-06-11
127人中 84 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
今作は、小説とは何か?という問い自体を含んだ作品で、つまりはメタ小説としての色合いがとても強い作品でした。そうしたところはやはりちょっと抜きん出ています。 <br />多くの翻訳を通して、繰り返し読みかえされる美的リズムやテンポを持った文体を多く学んだ、と筆者はどこかで述べていましたが、特に前半のハードボイルドタッチの描写に良く現れています。一方後半は心地よい耳障りをあえて抑え、しつこいぐらいの攻めの文体となります。 <br />大きなテーマは、世界と個人、システムと卵の殻、個と個の触れ合いによるぬくもりのある交流、善悪を越えた物語の力。モチーフは、宗教、性、初恋、親子、友情。 <br />ストーリーは礼儀として省略。 <br />モチーフやストーリーにしか関心を示さない読者には、ちょっとわかりにくい小説かもしれませんが、ちゃんとエンターテイメントにもなっています。 <br />それでも、私には最近の村上春樹氏は文中で少々言いたいことを言ってしまい過ぎなきらいがある様に思えるのですが、それを差し引いても、小説でしか味わえない何ともいえない感覚の世界に読者を引き込みます。 <br />ハッピーエンドとか勧善懲悪とかいうタイプの物語ではないので、読了後、納得するとかしないとかではないです。 <br />私は先ほど読了しましたが、心地良い余韻に浸っています。 <br />イメージの連鎖、受け取る側が作る小説です。
読後の虚無感
2009-06-15
70人中 45 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
村上春樹さんの本は「ノルウェイの森」しか読んでませんが、世界で活躍されてる作家さんなので読んでみました。<br /><br /><br />1は様々な謎が出てきて、2でどう解き明かされるのが楽しみでした。文章も引き込まれました。車の名前など知らない言葉ばかり出てきすぎな気もしましたが。<br /><br /><br />残念なのは、ほとんどの謎が投げっぱなしで、読者に解釈を任せすぎな気が。それから、人物描写で何度も同じ文が出てきて「もうわかったから」とうんざりしてくる。性的描写も口説い<br /><br /><br />面白く読んだけど、最後に来てがっかりさせられる本だった。
尻切れトンボ
2009-08-04
48人中 31 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
1は少し期待して読み進めるも、2でぐだぐだに。 <br /> <br />吐き気をもよおす性癖と女性観が展開される。 <br />登場人物がみんな肉体的にストイックなのも気持ち悪い。 <br />作者はきっとデブをにくんでいるのだろう。 <br /> <br />なぜ全国民が「ああ、あの人」と思い描くカルト集団の教祖を美化して描いたのか、その理由も分からないまま。 <br />何もかも風呂敷を広げたままで、よく分からない。 <br /> <br />村上春樹のファンは、それまでの積み重ねがあるから、愛を持って読めるだろうが、はやりに乗じて「ブンガクを読んでみよっかな」という人にはお勧めできない。
それは嘘だ。
2009-09-21
37人中 24 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
「たとえ何が待ち受けていようと、彼はこの月の二つある世界を生き延び、歩むべき道を見いだしていくだろう。この温もりさえ忘れさえしなければ、この心を失いさえしなければ」 <br /> <br />この文章で終わるBOOK2の終盤に書かれている一文を読んで、この小説を買って良かったと思えた。僕にとって、村上春樹の作品で一番好きなのは『風の歌を聴け』だ。いまとなってはもう読むことのできない作風のデビュー作こそが、僕にとっての村上春樹のベストだ。だから『1Q84』という作品はナンバーワンではないし、『風の歌を聴け』のような作品が今後発表されるとは思えないから、この先、村上春樹が書く作品がデビュー作以上に好きになることはないと思う。けれど、それでもこの作品は好きだ。 <br /> <br />月が二つあるような世界が現実にだってある、と僕は思っている。どうしてこんな目にはあわなくてならないのか、どうやったらこの現実を切り拓けるんだ。そんな風に悶え苦しむ瞬間が、僕には月がふたつあるような信じられない、逃げ出したくなる世界に思えてしまう。でも自分の生きている世界からは決して逃れられない。だったら、この世界で生きていく。自分が大切にするものが何か、それさえ見失わなければ生きていける。僕は冒頭に取り上げた文章を読んでそう思えたし、『1Q84』を読めてこの世界で生きる覚悟がもらえて幸せだった。 <br /> <br />村上春樹の作品を嫌いな人は多いと思う。事実、僕のまわりにもいる。何を言っているのかわからない。中途半端に物語が完結する。そんな感想をよく聞く。でも自分にはその批判される特徴が魅力なわけである。何を言っているのかわからない、中途半端に物語が完結するところがすごく好きなのだ。僕はあいまいなものほど、魅力を感じてしまう。あいまいだからこそ、いろんな世界に見える。あいまいだからこそ、自分の一番美しい世界に捉えられる。村上春樹の作品にはそんな自由がある。 <br /> <br />大切なのは村上春樹が何を言おうとしているのかを読み取ることではなく、村上春樹の書いた文章を自分がどう捉えるのか。そんなふうに読めば村上春樹の作品は楽しい。『1Q84』にはそんな文章がところどころに散らばっていて、非常に楽しい。 <br /> <br />僕は夏目漱石と芥川龍之介が好きだ。漱石の人間の心をこれでもかと深く描写する力は天才だと思えるし、芥川の美しい文章は物語がつまらなくてもその美しい文章を読んでいるだけですごく楽しい。村上春樹には漱石ほどの深い心理描写があるわけではないし、芥川ほどの文章の魅力を感じるわけではない(ただし『風の歌を聴け』は別。あの文章は美しい。特に第一章)。けれど彼らの作品を愛する僕でも、村上春樹は次の作品が気になる数少ない小説家だ。 <br /> <br />「言わなくてもわかる」 <br /> <br />こんな発言をこれまで何度か聞いてきた。相手が何を考えているのか言わなくてもわかる。そんな意味として。でも僕はそれは嘘だと思っている。その人が、心の底で何を考えているのかなんてその人以外にはわかるわけがない。だから登場人物の心理が深く描写されてない小説があっても良い。 <br /> <br />「わからないからこそ楽しいんだ。答えのないものほど、面白いことはない」