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丙丁つけ難き世界の中で
2006-11-04
10人中 9 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
浪速大学医学部第一外科教授選をめぐる山場を描いたのがこの第2巻だ。とかく財前側が金の力で権力を得ようとする悪であるという見方をされるようだが、果たしてそうだろうか。対する東側は、自身の保身と家族の事情に基づいていて、より節操がない。挙句の果て、どっちつかずのコウモリが登場する。丙丁つけ難き世界なのであろうが、だとすれば、どちらが医学に貢献し得るかという観点で見るべきで、折に田舎の母を想い浮かべる財前の支持が高いのは、そのためかもしれぬ。
対照的な医師、財前、里見が気になる
2003-10-22
10人中 9 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
第二巻を読み終え、誰が主人公かわからなくなってきた。それでも、この「白い巨塔」を舞台にした話はますます行方が気になる。国立大学病院の医師、財前と里見は対照的なドクターである。自信家で外科医として実力のある財前。医学部の基礎講座で研究を積み臨床医となり、慎重な診断に努める内科医、里見。また二人が診ている患者のその後の容態が気がかりだ。<br> 二人のそれぞれの行動の下にあるそれぞれの思いは、人間像をより深く表しているようで想像力に乏しい私には刺激的。小説は昭和30年代の大学病院が舞台となっているようだが、昭和という時代の一端を表す作品ではないだろうか。<p> 時代背景が昭和でも、本書を読んで感じた人間のエゴイズム、得意の絶頂にいる人間をはたから見た愚かさ、他者を思いやる難しさは時代を超えて考えさせられる。
生臭い話ですが今も-
2003-10-10
21人中 15 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
財前は東教授の後任教授選に立候補した。対抗は東教授の押す菊川候補。政界並みの生臭い選挙戦ののち、財前は教授に就任した。<p>幸福の絶頂にいる財前。内科の里見助教授から相談された患者の早期噴門癌を切除し、オペを成功させるとすぐさま海外の学会へ行く。<p>人は傲慢であったらいけない。医者は神様ではないからますますそうである。でも財前の幸福の絶頂は傲慢の絶頂でもある。愛人である花森ケイ子と里見助教授が、唯一財前の傲慢を正せるはずの人間だった。しかし-。続きは本書で。
医学とは?を問う第2巻です。
2007-01-24
8人中 5 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
ドラマ化も何度もされたシリーズ第2巻です。この物語の最初のクライマックスというべき教授戦は、各陣営が、金や名誉をばらまき、多数派工作の駆引きが行われた末、決着を見ます(この類のレビューのルールとして、結末は記載しません)。 <br />当巻の後半からは、第2幕ともいうべき、主人公の財前とは全く対照的に、権力・名誉、金銭には無関心で、患者のために、医術を極めようとする里見とのやりとりが、物語の中心になってきます。教授戦が、医学会とは思えぬドロドロしたものであったのに対し、第2幕は、2人の人物のやり取りを中心に据えた、医学への考え方をめぐるヒューマンドラマになっており、ページをめくる手ももどかしく、読み進めることができます。 <br />圧倒的な取材力や、両医師のやり取り以外の伏線は、前巻同様であり、面白く読める1冊です。
権威主義、拝金主義の医療界
2007-08-30
3人中 2 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
金をばら撒き、裏の運動の成果で教授職を得た財前。 <br />貧しかった日本にありがちな、成り上がりである彼には、そのポストは命をもかけて守るべきものであった。 <br /> <br />故郷の母に対する思いは、同調するものではありますが、彼の医療に対する姿勢には、患者一人ひとりの人間としての個性や、命の価値は目にはいらない。 <br /> <br />物語のあちこちには保険制度に対する医師からの批判とも取れる表現があるが、自らの収入を第一に考える、モラルを脱した発言に思われる。 <br /> <br />権威主義、拝金主義にまみれる医療界はそのままの形で現在に存在しているような・・・そんな気がする