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カスタマーレビュー数:13
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理 ことわり
2008-02-23
37人中 26 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
今年も蟲師の季節がやって参りました。第9巻です。<br /><br />今巻でまず強く感じたのが、失うということ。今までの話でも常に描かれてきたことだと思うが、特に9巻では想うところがあった。「残り紅」の陽吉の幸せも、「水碧む」の涌太の命も、いきさつはどうあれ何かを失って手にしたものである。この2つの話は分かりやすくハッピーエンドとして描かれてはいないものの、心が温まるような感動と物悲しいような真実に、感慨深くなり涙が出た。<br />本編ともいえるギンコの過去の話「草の茵」。何にも持っていなかったギンコが生きる意味に気付き居場所を見つけ、そして蟲師と成った。この話もまた、失うことで見えてくる大切なことが描かれていたように思う。<br /><br />失ったものと得たもの、今回個人的に感じたことはそういうテーマだった。<br />しかし、日本昔話とも言える名作品でありながら、はっきりした教訓を押しつけられることはない。この幻想世界の中に潜んでいる理を、それぞれに受けとめればいいのだ。<br /><br />次読み返すときは何を想うだろうか。「蟲師」を読み終えて、ふと物思いにふける夜が好きだ。
話の中に、すーっと引き込まれる味わいがいいなあ
2008-02-22
44人中 28 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
前の第8巻から、ちょうど一年ぶりの刊行となる『蟲師』第9巻。なつかしい手触りの中に、切なさと優しさが滲む味わいは、この最新刊でも健在。話の中に、すーっと引き込まれる感じで、ギンコのさすらいの旅の物語に親しむことができました。 <br /> <br /> 五つの収録作品のマイ・ベストは、「壷天(こてん)の星」。何かがいる気配はあるのに、自分以外に誰もいない家で暮らすひとりの少女。<この家に 私は一人で住んでいる><私には見えない何かが ここには居る><この頃は あまり怖くなくなった><たぶん 神様みたいなものだと思う><ここは もう ずっと夜だ>の文章と、山奥の家のひっそりと静まり返った中でひとり、食事をとる少女の絵。ミステリアスな雰囲気のある出だしから、ひたひたと胸に迫ってくる不思議な話の香りが、よかったなあ。作中、<―――ただいま>の一言が、心にじんわりとしみました。 <br /> <br /> 続いて、ギンコの少年時代のエピソードを綴った作品、「草の茵(しとね)」の話が忘れがたい。この世に自分の居場所を見つけられず、疎外感を抱いている少年ギンコの姿が、妙に寂しげにゆらめいて描かれていたところ。印象に残るものがありました。 <br /> このほか、「残り紅(べに)」「風巻(しまき)立つ」「水碧む(あおむ)」を収録。 <br /> <br /> いつもながら、ギンコを描いたカバーのカラー・イラストが素敵ですねぇ。表紙カバーを外して、壁に留めて飾っておきたい気持ち。
シンプルストーリー
2008-02-24
27人中 17 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
蟲師もこれで9巻目。隔月で5話収録なので発刊ペースは遅いものの、 <br />出れば必ず独自の世界に浸れる頼れる作品である。始まりから今まで雰囲気が一貫してるのも良し。 <br /> <br />だがこの巻は個人的に今までを含めてもかなりシンプルな話が多いな、と。 <br />しかもどちらかというとあっさりしてて切ないような、そんな終わり方が多い。 <br />結構説明を省いて感覚的な表現に傾いてるというか。 <br /> <br />なのでかなり判りやすいというか、本当にその話にスッと入っていけるような <br />即効性を持つ話が多く、全体的に淡々としていて且つしんみりした印象を持つ。 <br />特に口笛で蟲を操る青年の微妙な心理を描いた「風巻立つ」と <br />水を異様に欲し、執着する子供の「水碧む」あたりはかなりのクオリティだ。 <br />元々、構成に関しては上手い作者であったがますます冴えてるような感じがした。 <br />どちらもラストシーンが本当印象に残るので是非読んでみてほしい。 <br /> <br />また今巻ではギンコが蟲を悪用しようとする青年に忠告するシーンが非常に格好良かったり、 <br />「おじさん」といわれてムッとしたりする微笑ましいシーンもあった。 <br />更に久々に彼の過去を描く話が最後に収録されたりするので、そこら辺も見所の一つ。 <br /> <br />ちなみに全て1話完結で、設定もわかりやすいのでこの巻から読んでも全然大丈夫だと思う。 <br />と、この9巻を読み終えて改めて思った。 <br />
出会えてラッキーな独自の世界観
2008-06-15
19人中 12 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
実は一昨年見つけて読み始めたので、偉そうなことは言えないのだが、出会えてラッキーだった。これを知らずにいたら人生損するところだった(笑)。これから読む人、1冊目でリタイアせず、読み続けてみてほしい。作者の成長が著しい作品だからだ。はっきり言えば、1巻のデビュー作は、よく商業誌に載せたなーという感じだったけれど、編集さんの目は確かだった。こんなに伸びる人だったとは。ただ、好き嫌いは分かれるかも。
個人的好みが別れそうな巻
2008-03-03
17人中 7 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
長らくお待たせしましたの感がある「蟲師」9巻です。 <br /> 見える人もいれば見えない人もいる不思議で多種多様な「蟲」たちを払ったり、うまく御したりする蟲師の一人、ギンコの物語も気がつけば、ずいぶんと巻を重ねてます。途中ではオダギリジョー主演での映画化もありましたね。 <br /> いまでないどこか、明治あたりの日本のようなところを舞台にした連作短編集のこの漫画の中では、いい意味でも悪い意味でも時間が流れていない感じがあります。いくつかの話の前後ははっきりしていますが、それ以外はどれが先でも後でも構わないニュートラルな世界です ただ、その変わりのなさが、今回はちょっとマイナスに出てしまったのか、あくまで個人的な感想でいえば少し暗めの哀しい話が並んでいてパターン化してしまっているように感じました。個人的にはもっと明るい話や、はじけた話なんかも読みたいです。哀しい話だけでなく、しあわせでほほえましくて、楽しい夢が見れるような物語も読んでみたいです。「蟲師」はそういう事も描ける奥行きのある作品だと思いますので。 <br /> 何かを失う事、手に入れる事、それでも生きていく人という生き物について哲学的な部分もすごく好きですが、ちょっと変わったパターンもそろそろ読みたい気がします。 <br /> <br /> <br />