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『音』を生きる、『言葉』を生きる
2008-11-15
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人が生きるとはどういう意味なのだろう、そして何のために生きるのだろうか。少なくとも1つの事実として人生を受け止めるならば著者の辿る足跡は余りにも重い。或る日、突然にして、音楽家がその最も大切な拠り所の1つである『音』を喪ったとしたら、もし自分がその立場にあったなら、どうするか。それだけを考えながら最後までページをめくった。実際、17年前にストレスと過労から私は右の聴覚を失った。2度と元に戻ることはない。その日以後、私が考えてきたことは耳から聴くことだけが『音』ではない。相手の言葉やその思いをどこまで受け止めることができるかが『音』の意味だと理解するに至った。無論そこには音楽家とエンジニアという立場の違いはあるかもしれない。けれど音という手だてを通じ、その向こうにいる人達の表情を思い浮かべての仕事、という点では共通する。絶望の中、著者の周りには手を差し伸べ、言葉を交わす人々がいた。人間が社会の中で生きて行くには一人で生きていくことなど到底不可能なことであり、著者は作品を通じて自らの人生を生ききることを物静かに語っている。絶望を知る者だからこそ人間に向けられた彼の眼差しは優しく、そして返ってくる眼差しも優しい。相手の痛みを自らの痛みとして受け止めることができれば、世の中はもう少し真っ当になるだろうな。そんな思いを抱きつつ最後のページを読み終え表紙を閉じた時に頭に浮かんだメロディーはマーラーの『巨人』だった。尚、「下手すればお涙頂戴」との言葉は余りにも皮相的、そして想像力に欠けた言葉であり、自らの人生を粗末にしている哀れと言わざるを得ない。
すさまじすぎる、表す言葉がありません
2008-10-19
2人中 1 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
24時間、365日、ボイラー室内に閉じ込められたかのように、頭の中で響く轟(ごう)音、 その激しさは、時には気絶してしまうほど。 しかし著者は自分を偏執狂者といっているが 本当に狂気の闇の中で真実の音を探していく。 佐村河内守氏の全聾になってからの作品リストの数に、なんでこんなに できるのだ、そして自分も闘わなくてはと強く思います。 とにかく、圧倒される。そしてもっと生きるということと 徹底的に向き合っていきたい。 ★10個本です
涙と震えが止まらない!!…だけではなく
2008-10-04
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2008年9月16日TBS「NEWS23」にて佐村河内氏を初めて知った。放送終了後、居ても立っても居られず交響曲をぜひ全曲通して聴きたいと思い、ネットであちこちと探したが、この本を読むしかなかった。(ちなみにyou tubeにて上記番組が視聴できる) 凄い本だと思った。このような壮絶な人生があると知り、自分の生ぬるさ加減に嫌気を本気で覚えた。 しかし、わが身の不甲斐なさを省み、著者の勇気に感動するのが本書の本意ではないだろう。装丁に施されている総譜が「聴いてくれ!」と血の叫びを上げているように思え、真剣にこの才能を埋もれさせてはならないと、危機感を抱いた。 素晴らしい本だと思ったが、著者の現在を喜べる状況ではないので星は1つ差し引かせていただいた。 いつか交響曲が聴けるようになったら改めて五つ星を献呈いたしたい。
実話として☆5つ!
2008-02-11
15人中 14 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
こうした内容の本にはふたつの評価の仕方があると思う。 1)一冊の書物としてだけとらえる評価 2)事実を当事者のように感じ入ってとらえる評価 まともな人間であるなら2)で行きたいものだ。 つまりこういう内容の本には文質や文才うんぬんなど、評価の指標としてかなり低位に位置するのではないだろうか。 単に書物として酷評するよりも、著者本人の現状に心を至らせるのが、まっとうな人間の姿。 この際文章力などどうでもよいのだ。 「そういう人が厳然として、いる。そういう事実が厳然として、ある。」 それで十分に伝わるのだ。 最近も音楽アーティストのあゆも耳の病に襲われた。 そういう人たちは国内だけでも何万人もいるという。 佐村河内氏は勇気ある本を出してくれたと思う。 小説などとは違い自伝的な本には、単なる文章評者としてではなく、まずは当事者主義で望むのが紳士淑女のたしなみだということは、古今東西の常識なのだ。 書物は自由だ。 書物の評価も自由だ。 だから☆5つだからいい、☆3つは悪いとか、そういうことではないと思うが、こうした本にわざわざ☆1つというのはいかにも下品な評価と言わざるをえない。
闇の音を聴いてみたいと思いました。
2007-12-24
3人中 1 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
どんな状況下にあっても作品を作り続ける執念に心を打たれました。芸術家はかくあるべしと思いました。