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カスタマーレビュー数:214
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生命科学がテーマなのに文学的に魅了される素晴らしい新書。
2009-01-02
4人中 2 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
新書好きなので、いろいろな新書版を読んでいるけど、 自分の好きな新書ベスト3に間違いなくランキングされる本。 本を読むときは結構スピードをつけて、 ガガガガーと読むタイプなのだけど、 必要になるべくして読むスピードを落として考えたり、おお!って思ったり、 他の本にはないような独特の判断停止を与えてくれるという意味で良い。 サイエンスなのに文学的な本。 『知的生活の方法』(渡部昇一:講談社現代新書) が、新書本の中では、僕の中でダントツの名著なのだけど、 それに次ぐ、あるいは、それと同等の価値を持つくらいの名著。 「生物とはなにか?」を分子生物学の観点から、 研究の歴史的な変遷をたどりながら、福岡氏の説も交えつつ、 記されているのだけど、一般向け科学書というよりは、 研究・研究倫理・ヒトとしての在り方について、 ベストなバランスでネガティブな事実も記すことで、 人間・アカデミズムの在り方を提示しているような本な気がする。 - 生命とは動的均衡(dynamic equiblium)にある流れである。 - 秩序は守られるために絶え間なく壊されなくてはならない。 DNA・細胞などの専門的な内容ももちろん面白いけど、 生命をめぐったヒトのあるべき姿について、 アカデミックフィールドで福岡氏が感じた汚い部分も交えることで、 (研究社会の中で生き残るために起こる人や組織との軋轢など) いい揺さぶりを与えてくれる本。
詩的ミステリーの傑作
2008-12-27
5人中 2 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
著者は分子生物学者。人類がDNAの「地図」を解きあかす、その黎明期の物語が、スリル満点、たくみな比ゆに満ちた、詩的な文章で語られる。 読みはじめてまず気づくのは、言葉のえらび方と、その配置の美しさ。この場所にはこの言葉しかない、ほかに代わる言葉はないと読むものに感じさせる。 たとえば第三章、「物質のふるまい」「研究の質感」といった表現、あるいは第一章、ロックフェラー大学の図書館を描写した一節。 「実験の合間に、私はしばしばその地下道を抜けて二十四時間開いている図書館に行った。そしてよく手入れの行き届いた気持ちのいい苔色の椅子に深く腰をかけてそっと深呼吸をした。静謐な図書館はふだんあまり人気もなく、ひとり日本を飛び出してこの地にやってきた私にとって心安らぐ場所であり、人知れず感傷にひたれる場所でもあった。」(p.17) 読みすすめるうち、文体だけではない、ミステリーとして、ストーリーのおもしろさも兼ね備えた本だということがわかってくる。 緩急をつけた展開の巧さ、そして結末のあざやかさ。 何よりも「生命」ということについて、分子生物学の視点から、しかしその枠にとらわれずじっくり思索をふかめた末にみちびかれた、ひとつの答え。 科学の可能性からも、同時に限界からも逃げない真摯さを感じる。 それはきっと、なぜ生物は「生きて」いるのか、そもそも「生きて」いるとは何か、少年の日に抱いた最初の問いを、多忙な研究生活の中にあっても、著者が守りぬいてきたからなのだと思う。 目にはみえないもの、ヒトの身体能力や感覚器官の外側にある世界の存在を、私は信じている。 見えないものの重要性を強調するために、「科学がすべてじゃない」とか、「遺伝子の謎解きは、人間が踏みこんではいけない領域だった」と口にしたこともある。 けれど、その「科学」や「遺伝子」について、そもそも人類が何を知っているか、何を知らないか、私はちっともわかっていなかったのだ、と目をひらかれる思いがした。 知識そのものが善や悪なのではない。 そこに利用法を見出し価値を付け加えるのは、結局、それぞれの人間なのだろう。
タイトルと内容が違いすぎる
2008-12-12
12人中 8 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
科学者が書いたにしては、日常の愚痴が・・・ モット タイトルどおりの 生命と何か、無生物との間の ことを科学的に書いてほしい。
人間は絶え間なく変わり続けている・・・
2008-12-10
7人中 2 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
人間の体は数週間で物質がいれかわり、数週間前の自分と今の自分は違うのだと、前にもどこかで読んだことがあったような気がするが、この本ではそのあたりをより詳しく「分子生物学」の視点から書いている。 私たちが食べた分子は、瞬く間に全身に散らばり、一時、緩くそこにとどまり、次の瞬間には身体から抜け出て身体のありとあらゆる部位にちらばる。それは臓器や組織だけでなく、一見固定的な構造に見える骨や歯ですらもその内部では絶え間のない分解と合成が繰り返されているそうだ。 生命とは何か。 生命体は、たまたまそこに密度が高まっている分子のゆるい「淀み」でしかない。しかも、それは高速で入れ替わっている。この流れ自体が「生きている」ということである。 なんとも不思議な視点であり、サイエンス系の簡単な読み物として、とても読みやすく優れている本だと思った。
タイトルが間違ってる
2008-12-09
15人中 9 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
「生物と無生物の間」という題名にひかれて読みましたが、全くの期待はずれでした。我々が明らかに無生物と判断できるものと、明らかに生物と判断できるものの間には、当然の事ながらあらゆる段階が見出されるわけですが、その境界を一意的に決めるという事はあくまでも定義の問題でしかありません。要は人それぞれに何とでも言えます。 掲げたような題名に適う内容とするならば、少なくとも、生命に関する哲学的な考察について、今までに無い科学的な論拠を与えてゆくような発見が必要です。「動的平衡」云々は、全く目新しい内容でもないし、ただ事実をその通りに言っているだけで、なんら哲学的問題に訴えるものがありません。 人によってはこういう内容の本を楽しめる方もいらっしゃると思いますが、とにかく題名が決定的に間違っています。 文学的表現、詩的表現に優れているという評もあるようですが、そちらも全く理解が出来ない。 優れた文学というものは、一つの言葉、一つの文章が、その全体に対して切り離せない関係を結び、一つの生きた世界として提示されるものです。そのような文学は、有限な文字数の中に様々な関係を発見できるような、とてもリアルなものです。 それに対してこの本で披露されている文学とは、局所的な技巧の足し算に過ぎず、そもそもが浅はかなカッコつけか、或いはレベルの低い通俗的読み物でしかない。テーマとも関係がないし、裏テーマがあるんじゃないかなんていう深読みさえできない。 これが文学として評価されるのであれば、理系の教育レベルだけでなく、文学的感性もかなり危機的状況にあるのかもしれません。