クリックすると拡大します
ランキングには入っていません
ランキングには入っていません
コンパクトだけれど充実した浮世絵案内
2008-12-15
6人中 5 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
表紙に使われている図が何かなと思ったら、三代歌川豊国が、錦絵制作に携わる職人たちを女性の姿に変えて描いた錦絵の一部でした。この本の特色が出ている選択だと思います。ひとつは江戸時代も終りに近い方の時期に力点を置くということ、もうひとつは浮世絵がどう生産され流通し消費されたかという問題を具体的に説明するということです。浮世絵の入門書はいろいろありますが、これらの点が本書の新しさでしょう。いずれも現代人にとっての浮世絵への親しみやすさを配慮した結果と、あとがきからいえそうです。 そうはいっても、もちろん歌麿や写楽といった錦絵の黄金時代を含む浮世絵の概説も記されていますし、見立絵や技法の解説もあります。参考文献や浮世絵を見られる美術館の案内までついていて、薄いわりには中身の多い感じがします。すべてがカラーの図版もきれいですし、いわゆる名品ばかりでない珍しい図が選んであるようです。ないものねだりをすればきりがないでしょうが、新書版の浮世絵の本としてはじゅうぶんお値打ち物です。
浮世絵の全体像を把握するために
2009-01-31
2人中 1 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
木版画による浮世絵は,17世紀後半に菱川師宣によって始められた。 当初は手で色が付けられ,その後2・3色だけ用いた紅摺絵が開発された。 それが,完全な多色摺へと移行したのは,明和2年(1765年)。なぜかこの年,大小暦(大の月と小の月の月名だけを記載したカレンダー)の製作が爆発的に流行し,2・3色摺から一気に7・8色摺になった。 その後,日露戦争後には絵葉書がブームとなり,錦絵は姿を消した。 本書は,浮世絵の勃興期からその衰退までを通時的に縦覧するとともに,印刷の仕方や売られ方などまで,浮世絵に関する幅広い知識を紹介している。 カラーの図版も多数収録されているので,入門書として気軽に読める一冊である。
浮世絵って面白い!
2009-03-18
1人中 1 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
当初、図書館の新刊案内を見て借りて読みましたが、二度目に借りようとしたときに、順番待ちで借りられず、購入しました。 著者の大久保純一氏は近世絵画史を専門とする、国立歴史民族博物館・研究部情報資料研究系の教授です。 難しい肩書きですが、本の内容は初心者から少し浮世絵をかじり始めた人向きの分かりやすい本です。薄く小さい(新書ですので)ながら、題名どおりカラーの図版が豊富で、浮世絵の基本を網羅しているのではないでしょうか。 特に興味深いのは、直接お上への批判を許されない江戸時代において、うまく隠して(バレバレな気もしないでもないですが)世相批判を盛り込んでいるという例をあげて解説しているところです。楽しめます。