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カスタマーレビュー数:13
宇宙学・天文学 >
31位
宇宙学・天文学 >
34位
あまりにも壮大な物語
2008-12-17
16人中 11 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
宇宙物理学の第一人者である東大教授による宇宙論の入門書。 <br />宇宙の始まりから終わり、ビッグバン,暗黒物質,マルチバースなど、 <br />宇宙に関するなぞが網羅的に紹介されています。 <br />門外漢の文系人間なので、立入った感想は言えませんが、 <br />宇宙に関する素朴な疑問にはたいてい答えてくれていると思います。 <br />さすが岩波新書です。一つの標準になる一冊かもしれません。 <br />今年話題のノーベル物理学賞3人の功績にももちろん言及があり、 <br />すごくタイムリーなのも本書を読む一つの価値となるでしょう。 <br />ただ、噛み砕いてあるとはいえ、文系の人には非常に難しいです。 <br />半分くらいしかわからないで終わることは覚悟した方がいいでしょう。 <br />壮大な世界のだいたいの概要をつかむ気で読まないと、途中で挫折します。 <br />そういう意味では、部外者にとっては最初のSF仕立ての5ページに <br />おおすじが集約されているといっても過言ではありません。 <br />本書は宇宙論の成果だけでなく、宇宙論の最前線や生物の未来についても <br />果敢に話が及んでいきます。ただ、宇宙研究にしても、生命の未来にしても、 <br />日常や想像のかなたを行き過ぎていて、個人的にはあまり心躍るものでは <br />ない気がしました。なにか行くところまで行ってしまったという感じです。 <br />非常に読み応えある一冊です。ここにロマンや未来を感じることが <br />できるかは、その人が科学向きかどうかの試金石となるでしょう。 <br />
宇宙論の本は進化したか? その2
2009-02-08
7人中 5 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
宇宙論の現時点での最前線を、証明されたことはもちろん、まだ証明されていない・証明不能のことについてはいくつか可能性がある理論を噛み砕いて解説してくれ、知的刺激を与える良書だ。ただ、ある程度宇宙論に関心・心得のある人向きだろう。暗黒物質ならぬ暗黒エネルギーが宇宙論の主役となったこと、WMAPの観測結果より、宇宙初期にインフレーションがあったことは確実になったこと等の最新の知見を盛り込んでいる。 <br />宇宙の始まり:特異点問題を避ける、無からの量子宇宙の誕生のイメージを掴めた。特にホーキングの虚時間と実時間のつながりと宇宙誕生の関係の説明が簡潔でわかりよい。また宇宙が多重発生したと考えるのが自然なことも納得できる。 <br />現在の宇宙:宇宙創造の時より遥かに緩やかだが現在はインフレーションの段階にあるとの指摘が鋭い。 <br />宇宙の終わり:宇宙は膨張し続けるのか、収縮に転ずるのか不明だし、証明不能な領域だけれども、10の100乗年先!の数種類の粒子しか存在しない宇宙像には戦慄を覚える。また、収縮に転じても膨張時の逆の過程を辿る訳ではなく、最後の特異点問題は避けられないことを知った。収縮する宇宙から脱出するには一定領域の真空のエネルギーを高めてインフレーションを起こし子宇宙を作る方策が考えられるとのこと。別宇宙を作るとは光瀬龍氏の百億の昼と千億の夜のラストのようで発想に目が眩む。 <br />なぜ人間にとって今の宇宙は好適なのか:DNAが変化するように、子宇宙に物理法則が完全にはコピーされないからとの説の存在に驚く。 <br />人類はなぜ宇宙で孤独か:著者は、知的生命体は高度な文明を獲得したとき自滅する、という仮定を披露する。もちろん科学の暴走等への警告だ。 <br />このように、宇宙論自体の進展を踏まえ、さらに知的生命体としての人類の将来に想いをはせる、宇宙論の本の進化形として一読を薦めたい。
難しかった
2009-02-13
11人中 7 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
佐藤先生の本は基本的にわかりやすい、素人が読んでも理解しやすく書かれている本が多いので読んでみましたが、本書は別。。難しくて素人の私には理解できる本ではありませんでした。がっかり。。
これこそセンス・オブ・ワンダー
2008-12-02
17人中 9 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
この手の本は、ビッグバンを説明するだけでだいたい終わってしまうのですが、『誕生から未来へ』という副題の通り、100兆年ぐらい先の宇宙がどうなっているか、というところまで描いていてくれているのが嬉しいですかね。 <br /> <br /> また、超ひも理論を元にしたブレーン宇宙モデルに関しても、整理して書いてもらっている感じがして同じように「分かった気」にさせてもらえるのが嬉しい。さらに、最新の粒子加速器LHC(大型ハドロン衝突型加速器)で加速された粒子の衝突で小さなブラックホールが形成される可能性があり、作られたブラックホールは、直ちに大量のいろんな粒子を放出して消えるであろう、なんてあたりや日本人のノーベル賞受賞にも触れていたりするジャーナリスティックなセンスもいいです。 <br /> <br /> また、将来の宇宙として暗黒エネルギーも消え、核子の崩壊によって原子核も消えると《通常の物質世界が消滅し、光子、ニュートリノ、電子、陽電子だけの宇宙になる》(p.167)なんてあたりもセンス・オブ・ワンダーを感じさせてくれます。素人でしたのて、カラビ・ヤオ空間とブレーン(膜)宇宙のモデル図も初めて見て興奮しました(p.189)
宇宙"論"から宇宙"学"へ進展する様子が良く分かる。宇宙の未来・生命の形態への言及も興味深い。
2008-11-30
9人中 3 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
人類は夜空を眺めては、ある種の規則性(or 不規則性)に気付き、暦を作り、占星術を編み出し、天文学・物理学を築いてきました。そして思ってもみなかった観測結果と新しい物理学が合わさることで、宇宙観は変更を受けてきました。いつの世も新しい観測結果が提示する「未解決の問題(パラドックス)」が その後の天文学・物理学を進展させてきたのでした。それは現代でも変わりません。 <br />本書を読むと、20世紀の宇宙観が如何にドラマティックに変わってきたかが概観できます。ビッグバン理論〜インフレーション宇宙論が、如何に観測結果や新しい物理学(素粒子論)に支えられ、宇宙"学"として確立してきたかの経緯が良く分かります。(2008年度ノーベル物理学賞の話題にも触れています) そして新しい観測結果(暗黒物質・暗黒エネルギー)を説明するために必要とされる物理学とはどんなモノなのか説明されます。(LHCの実験結果が待たれるところでもあります) 最後に宇宙はどんな風に終わるのかについて、考えられうるパターンが列挙されます。色んな宇宙における生命体の形態や存在確率についても言及されています。(カール・セーガン先生の十八番ネタ(ドレイク方程式)もあり) <br />「宇宙「96%の謎」」と重複が多いですが、本書では最新の話題まで含まれています。物理学に馴染みのない読者が何処まで理解できるか分かりませんが、この手のブルーバックスを読みこなす人ならOKでしょう。「カラー図解 宇宙のしくみ」と共通する話題が多いので、こちらの図解と併せて読むと理解が深まるかも。本書では駆け足だった元素生成の話題に関しては「僕らは星のかけら」、暗黒物質・暗黒エネルギーに関しては「見えない宇宙」が面白いと思います。本書が易しければ素粒子論とビッグバン宇宙論との繋がりを論じた歴史的名著「宇宙創成はじめの3分間」への挑戦をお薦めします。