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カスタマーレビュー数:9
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27年前に初版の本だが今でも十分に示唆的
2004-08-15
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本書はイギリスで長年経済学を教えていた著者が、1977年に初版を出版したものである。その意味では巷に出回っている日本とイギリスの比較ものと同ジャンルとも言えるのだが、決定的に違うのは、著者の主張や推論には統計的裏付けがあることだ(数理経済学者としては当然の振る舞いである)。<p>イギリスを日本人が紹介する本は多数あるが、大半は限られた側面しか見ていないし、記述があまりに表層的でお粗末である。データの裏付けもない。それと比べると本書はトピックは限定的でも(経済と教育面)、統計データを元に推論を進め、リーズナブルな結論を導いているという点で、大変良心的な本である。また驚くべき事に27年前に提言されている日本の教育改革案などは今でも通じるものがある。
興味深い イギリス文化
2003-09-30
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イギリス文化について紹介した本は数々あるが<br>経済学者が紹介している本著は<br>他の書籍と違った視点から述べられており<br>おもしろい。<p>学校制度の違いなど<br>日本と文化・慣習・歴史などが異なっており<br>興味深く、楽しめる。 <p>著者である森嶋教授がロンドンに在住され<br>経験されたことであり<br>イギリス文化を知る上で、大変興味深いものとなっています。
日本の4年生大学は殆ど短大化し、若者を早く社会へ送り出せ
2010-05-22
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日本の4年生大学は殆ど短大化し、若者を早く社会へ送り出せ。同感。森嶋さんに文部大臣をお願いしたい。
英国式教育が英国病を生んだ
2010-05-02
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本書は、英国滞在経験のある大学教授による日英文化比較である。古い著書であるが、著者の視点がユニークであるため、21世紀の今日でも十分に堪能できる。 <br /> 特徴は、英国の学校教育制度の解説が充実している点である。作品当時、英国病がよく話題に上っていたようで、本書でも、英国病の原因についての考察がある。著者曰く、英国の教育に原因があるという。英国では、優秀が大卒者は教育部門あるいは公共部門に職を求め、概して実業界に興味を示さないという。何故か。英国人は、教育を将来への投資と考えず、消費財として考える。そして、教育そのものをエンジョイすることを欲し、お金は儲からなくても、「楽しい世界に一生住んでいたい」と思うからこそ教育界に職を求めるのだという。そして「イギリスの高等教育機関が産業に奉仕していないという悩みは、教育が悪いからではなくて、逆に教育が成功しているからである」と断じる。「英国を没落させたのは英国人の教養であった」と結論する。 <br /> 本書のもう一つの特徴は、戦争への言及が散りばめられている点である。戦争への言及を通じて、平和の貴さを説いている。海軍に所属していた著者は、1945年8月15日を鹿児島県の垂水海軍航空隊で迎える。特攻隊が出撃していた海軍基地に近い場所である。本書執筆当時、報道を騒がせていた日欧間の「貿易戦争」にも言及し、「大半の戦争が経済紛争に原因している」と述べ、懸念を表明している。戦争体験をした経済学者らしい表明であった。 (2009/9/1) <br />
日本とイギリスの比較文化論。面白いけれど自己矛盾あり。
2009-07-15
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1年間のイギリス生活から帰ってきたばかりの私にとって、30年前に書かれたにもかかわらずこの本は新鮮で示唆に富む本でした。 <br /> 1977年当時、イギリスはかつての大英帝国から小さな福祉国家へと変貌し、いわゆる英国病の真っ只中にいました。その後、サッチャー改革で見事によみがえり、ふたたび世界の中で重要な役割を演ずる国になったわけですが、その改革で、イギリスはすっかり変貌してしまいました。そのため、この本は逆に、それ以前のイギリスがどのような空気を持っていたかを教えてくれます。 <br /> いっぽう日本は、1977年当時、高度成長をなしとげて経済大国になったばかりでした。ところが1990年におきたバブル崩壊によって10年以上苦しみ、小泉改革で蘇りつつあったものの、そのイノベーションをきらった人々によって揺り戻しが置き、いまも苦しみの中にいます。そのため本書は、日本がこれからどのようにすればよいかを考える上で、その原点を与えてくれるように思います。 <br /> <br /> 著者の森嶋通夫は、1970年にロンドン大学にわたった日本を代表する経済学者です(2004年逝去。享年80歳)。本書は、1975年に帰国した際に講演をした内容をまとめたもので、その後の日本の針路におおきな影響を与えました。以下、私の興味を引いた部分を紹介したいと思います。 <br />「自分があの人はこうした方がよいと思えば、その人にそうしろと忠告したり、さらに昂じると集団で無理やりその人をそうさせるというのは、まったく日本的であります」(p43)。このような「日本人の干渉がましさ」の起源はどこにあるかといえば、日本が島国であって、全員が一つの船に乗っており、国内の意志を統一することによって和を保つことができなければ船の沈没につながるからだと、著者は分析します。いっぽう同じ島国であるイギリスは、まったく異なる方法で沈没を避けようとしている。「他人のことは気にかけるな、彼のことは彼がするのだから、自分は自分のことをしろ、他人をすてることによって、他人と両立し、他人から距離を保つことが、他人に対する最大の思いやりになる」(p46)というのです。 <br /> 他人と距離を置く、というインディビデュアリズムは、したがってイギリス人の本質をなしているから、たとえば会社の朝会が「団体精神を高揚させ、そうすれば生産性があがり、結局自分たちが得をするということがわかっていても、もしそれが他方でインディビデュアリズムを抑圧するようなものなら、彼らは、なかなかそのような企画を承認しない」(p.55)ということです。 <br /> 大学教育に対する日本とイギリスの認識のちがいも興味深いものでした。「1970年代、もっとも成績優秀な若者は理学部に進学した。そしてもっともできが悪い若者が医学部に進学した」(p144)という分析を示しながら、なぜこのように奇妙な性向が現れるのかを論じます。イギリス人の理想のゴールは、漱石のえがいた「高等遊民」にあるのではないか。 <br />「イギリスで大学を優秀な成績で卒業した人たちの多くは、教育を将来への投資と考えず、消費財として教育そのものをエンジョイしたがって」(p150)いるのではないか。「お金は儲からなくてもよいから、こんな楽しい世界に一生住んでいたい」。そのようなわけで、「イギリスの高等教育機関が産業に奉仕していないという悩みは、教育が悪いからではなくて、逆に教育が成功しているからである」と著者は論じます。「日本をここまで引き上げたのは、日本人の俗物根性であり、英国を没落させたのは英国人の教養であった」(p151)という結論は真理を含んでいます。 <br /> いま日本は、当時のイギリスのようになろうとしています。学問は楽しいものだ。いずれ日本もまたイギリスのように教育そのものをエンジョイするようになるだろう、という彼の予言は、30年後にほぼ実現したといえます。 <br /> だからこそ、大学において教養課程と専門課程をひっくり返して、「専門コースを先にやり、その後に教養課程を履修するようにして、専門コースを終わった段階で就職したい人は就職」(p191)すべきである、という意見は、自己矛盾をはらんでいると思いました。 <br /> ところが、彼の意見は当時の文部省に影響を与えて、ついに教養課程はほとんど廃止されてしまい、その結果、「文系の大学生は科学にまったく触れることなく社会に出る。いっぽうで、理系の大学生は哲学をきちんと学ぶことなく専門馬鹿になる」という現象が出現してしまったのです。この本質には、「学問は面白くないものだ。そして学問は、将来の職業のツールだ。だから文系の学生は科学などやる必要はない」という矛盾した思想が見え隠れしているように思います。いま、なんとかその思想を正し、文系の大学生・大学院生に科学をきちんと教える、ということをやらなければならない、とつくづく思います。